広場の方からきたチョコボは中でも臆病な子だった。
騒ぎが始まった時に柵から飛び出し、オークのテントの陰に隠れてしまったのだ。
運悪く小さなチョコボは仲間達に遮られ、
その逃げる姿をルーン達に見咎められることがなかった。
ようやく広場が静かになったのでそっと様子を見に顔を出すと
そこにはすでに仲間もいなかった。
仲間達の匂いを追ってふらふらと通路に入り込んできたところだったのだ。
そんなことをアメは知る由もない。
「チョコボ!お前、なんでまだいるんだ!」
火矢が当たってしまう!
毒手のオークの胴に拳を入れた反動で後ろに跳ぶと、
アメは全力で戦車の方に駆け出した。
火矢が放たれた。
同時にすばやく跳躍したアメはナックルでそれを打ち払う。
そのまま戦車の頭でもう一段高く跳ぶと、
「おぉぉぉぉぉ!!!」
と気合を込めて戦車目掛けて拳を振り下ろした。
オーラを纏った拳は戦車を破壊していく。
がくぅぅぅん・・・
アメが地上に降りた時、戦車はその機能を停止した。
振り向くと毒手のオークの攻撃が飛んできていた。
それを避けながら、また反撃をする。
攻撃を繰り出しながら、毒手のオークがにたりと笑った。
「エモノガフエタナ。」
アメの全身の毛が怒りで逆立つ。
「貴様、相手はうちだろぉぉぉ!」
小さなチョコボはふらふらと通路にはいってきて、アメとオークを見つけ、
しかし、毒手のオークの気に押され、その場から動けなくなっていた。
「逃げろ、チョコボ!」
アメは叫んだが、チョコボはクルルルル・・・と悲しげに啼くだけでその場から動こうとしない。
その隙をついて、毒手のオークの拳がアメの腹にヒットする。
ばきばきっと鈍い音がした。
かはっ・・・しまった、油断した・・・
あばらを何本かやられたようだ。
毒もどんどんアメの体を侵食していた。
こいつの毒は並じゃねぇ
それでもアメは倒れるわけにはいかなかった。
うちが倒れたらこの子も殺られてしまう!
ありったけの闘気を集めて、アメは腕をしならせた。
「はあああああぁぁぁぁぁ!!!!」
無数の拳と蹴りを叩きこむ。
「逝けぇぇぇぇ!!!」
身を低く沈め、毒手のオークの喉元目掛けて全身の力を込めた拳を振り上げた。
「グゥゥゥゥゥオオオゥゥゥ!!」
毒手のオークの巨体が宙に浮くと、ずぅぅぅぅん・・・と地響きをたてて地面に転がった。
「・・・・やったか・・・」
アメは小さなチョコボを見た。
小さなチョコボは瞳を潤ませながら、まだそこに動けないでいた。
アメはにっこりと微笑みかけた。
「もう大丈夫だよ、一緒にかえr・・・」
言い終わらないうちに、ぐらっとアメの体がふらつく。
ちぇっ、この毒半端じゃねぇ。毒消し・・・を・・・つかわなきゃ・・・
ポケットを探る手が思うように動かない。
心配そうに小さなチョコボがちょこちょことこちらに数歩近づく。
「お前、動けるようになったな。よかった。待ってなぁ・・・」
微笑んだまま、アメはすうっと目を閉じた。
ゆっくりと体が傾いていくのを感じる。
だめだ・・・・・
チョコボを帰さなきゃ・・・
声にならない声でアメはそう呟いた。
「ポイゾナ!」
そんな声をアメは薄れゆく意識の中で聞いた気がした。